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佐藤亜有子 32歳 小説家
タンクの中は、完全な闇だった。手を目の前に上げてみても、輪郭
どころかその在り処さえまったくわからず、自分の体がいつの間にか
漆黒の中に溶け失せたような、奇妙な戸惑いがある。スピーカーから
かすかに流れる波の音が途絶えたあとには、闇と閉所への不安で少し乱れそうになる呼吸と心拍のほかには、音もしない。それに、生暖かい水溶液の感触以外に体を支えるものもなく、タンク内の空気もどこか生物的な湿りと熱を帯びているために、ベッドに横臥しているのとも、水と外気の境界線がはっきりしているプールに浮いているのとも、
体感が
違っている。
不安だけれど、心地よさがなくはない。まったく未知の環境に慣れよう
として静かな呼吸を続けるうち、やがて、半覚醒のおぼろさに包まれた
自分が、夢と現実の狭間の暗がりに迷いだすような感覚が生じてくる。
わたしはいったい、どこにいるのか。なにも見えない闇の中で、四方
をタンクの無機的な壁に閉ざされた感じは、いつの間にか失せている。
目覚めの間際にふと浮かび上がる夢のような瞑想で、その空間をどの
ようにでも、作り変えることができるだろう。深い闇に微細な光がちりばめられた宇宙にもなれば、わたしの体をゆるやかに運ぶ大河にも、
温かい夜の海にもなる。あるいは舟。まどろんでいる間に、どこか知ら
ない場所へと、それが水流に導かれていく。それともここは、長く深い
眠りのあとで目覚めるための墓所だろうか。わたしがふたたび闇から
外に出たときには、驚くほどに長い時間が過ぎていて、世界がまるで
変わっている。
古代の人々も、今の時代に生きる人々もいつかは夢見た覚えがある
ような、そんな時空の不可能を越える夢想さえ、そこではなにか、
可能性の微光のようにも思えてくる。
もちろんそれは、一時間ほどの小宇宙での旅を終えればいずれはぼやけていくような、ごく個人的な夢想でしかない。外から見ればタンクはただのプラスチックの箱であり、その後のシャワーや着替えといった普段の動作をこなすうち、わたしはたちまち、日常の流れの中に引き戻されていく。ただ、いったんそこから離れたところに身を置いて、普通の眠り
ともまったく違う夜の中を旅したような感覚は、体を不思議とくつろがせ
ていた。外の刺激が最小限にやわらげられた空間で、ただ浮かぶほかはなにもせず、自分の鼓動や呼吸を感じて、とりとめもない夢想にふけ
る一時間は、生き物としてのわたしの中の奥行きや広がりを、忘れていたものを見出すように感じさせる。
NAOMI 30代 メイクアップ・アーティスト
目を明けても閉じても同じ暗さ、何も見えない、何もない、聞こえたの
はただ、自分の心臓の音、血液が脈をうつ音のみ・・・そういうリズムで、そういう音で動いていたんだって事を私は忘れかけていた。
胃や腸が鳴らす音はたまに気が付くけれど・・・自分の心臓の音は、
普段聞けない。
心臓の音を聞きながら、やがて私は寝てしまったのかしら・・・
タンクから出た後は身体がふんわり軽くなっていてとてもリラックスし
ていた。きっと考え事をしたいときとかに入ると、とても集中できるので
はないでしょうか。
竹澤イチロー 画家 40歳
シャワーを浴び、入り口の四角いふたを開け、静かに、おそるおそる、
身体を仰向けにして液体に浸しました。両耳が完全に、液体に浸った
時に、息苦しさを覚え、必死に何度も深呼吸を繰り返しました。
液体は、体温ほどの生暖かさで、中の空気はむわっ!としていましたので、息苦しさと真っ暗闇の密室ということもあり、一時的に、パニックに落ち入りました。
「溺れたら、どうしよう!?水深が、30センチでも溺れる人はいると聞く
・・・飛び出したい!!でも、みんな体験していることだし、安全だと聞いているから・・・。」
知識と身体は明らかに分離しており、身体感覚は強烈にタンクを嫌っ
ているようでした。
しかし、間もなく慣れてきたのか、呼吸が落ち着きを取り戻し、身体か
ら強ばりが取れて、リラックスし始めました。隣室の宮部氏からマイクを通して「波の音楽を5分程かけましょうか?」と声が聞こえ、音はないほ
うがいいかなと思ったりもしましたが、5分だけなら聞いてもいいだろうと判断し、「お願いします・・・。」と静かに答えました。この時に、真っ暗やみの密室だけれど、人とつながっているという安心感を得ました。
まっすぐに真っ暗やみの天上を見ていると、ゆっくりと頭と足のつま先
の方から、かすかに光が差してきました。「おかしいなぁー!光など入ってくるはずはないのに・・・。」
光が遮断されているはずが、天上はプラネタリウムの星が無いスクリ
ーンだけの状態のようにうっすらと、暗い群青色に見えてきます。
これは、暗闇に対するぼくの潜在的なイメージが現出していたのでし
ょうか?
視覚を意識している時の身体は、重力から解放され、からっぽの風船みたいです。身体は消えて目だけがあるようです。目を開けながら閉じているような状態なので、クラゲのようなフォルムが目の前に現れては消え、しています。身体の位置を変えようと、少し壁をつついてみると、
90度は回転したかのような浮遊感覚です。
隣の部屋で、賑やかに話している声が聞こえたり、無音になったりし
ます。幻聴だろうか? 実際に聞こえているのだろうか?ぼくの前に入
っていた男性は、音は何も聞こえなかったと話していましたが・・・?
身体を意識し始めると、液体がぼくの身体を支えているのがわかりま
した。その時、なんて自分の身体は重いのだろうと感じました。どんどん身体は、最初の恐怖感がうそのようにリラックスしていくのがわかりま
す。一体、どれだけの時間ここにいるのだろうか?
お腹が、ぷっくりと液体から出ているため、液体の温度よりもお腹が、冷たくなっていて、後半は、尿意をもよおしました。
夢と現実の境をさまよっているうちに、マーラーの曲が、聞こえてきまし
た。そろそろ、時間かなぁ。と思っていますと、
「イチローさん!いかがですか?そろそろ、お時間ですよ。」
と宮部氏の声が聞こえました。
*************
第2回目のアイソレーションタンク体験記です。
初回は、パニックったのですが、2回目は、慣れたせいか、すんなりと硫酸マグネシウムの海へ浮かびました。
またしても、知識や記憶、経験等のいらぬ想念が頭をよぎります。
しばらくすると、身体は、透明になり、肉体を意識しない状態へと変化していきます。しかし、今回は、身体の異常な部分が、非常に重く感じる箇所がありました。それは、目と肩です。ぼくは、画家ですので、明らかに普段、酷使している部分です。
さらに時間が経つと、過去のそれも小学生の低学年の頃の自分が登場します。両親から、溢れる愛を受け、安心しきっている子供時代。その記憶と言う幻想が消え、さらに身体は、自己イメージを超え出ていきます。
自分は、一体、どこにいるのだろう?自分とは誰なんだろう?
全く、からっぽで透明な身体がそこにはあります。
超個人が、漆黒の宇宙にポッカリと浮いているのです。
浄化の旅は、まだまだ続くでしょう。
今回は、心身共にリラックスし、タンクオーナーのお人柄にもゆったりとふれる事が出来て、幸せな一時でした。
ありがとうございました。
ERIKA・30歳・自由業
背泳ぎが苦手で、閉所恐怖症気味のわたしが、アイソレーション・タ
ンクで心からリラックスできるのか……? はじめは半信半疑だった。
タンクの中に入り塩水に横たわると、すぐにプカッと身体が浮かんで
とっても不思議な気分。塩水が耳の中に入りそうで入らないあの独特
のゾワゾワする感覚も、すぐに慣れてしまった。
水面をフワフワとただよって、一体どのくらいの時間が経過したのだ
ろう。見当がつかない。タンクの中にいると時間の感覚が全くなくなっ
てしまう。
それでも数十分は経ったに違いない。だって、だんだん肩がこりはじ
めたから。わたしの身体は強力な浮力には耐えられないのか?重力
に慣れきってしまった身体は、浮力を感じて少しずつ疲労しはじめたよ
うだ。それでも、暗黒のタンクの中で浮遊していると、日頃抱えている
悩みや仕事のこと、煩わしい人間関係のこと……すべてのことを忘れ
て、ただただボーッとできる。気持ちがいいのだ。
睡眠中、自然に寝返りをうって体位を変えるように、浮遊したままで、腕を後頭部の下で組み、頭の重みを支えてみる。ただのばしていただ
けの二本の脚を組んでみる。体位を変えただけでさっきまで感じていた疲労感がなくなって、快適。そしてさらに数十分経過。(したんだと思う、たぶん。)
そろそろでようかなぁという気持ちを自然に抱いたときが、きっと出る
べきときなんだと思う。ということで、タンクの外に出た。
湯疲れに似た感覚が全身を包む。ウ〜ン、だる気持ちいい(だるい+気持ちいい)。塩分による痩身効果なのか、身体が引き締まった気が
する。
タンク初体験後、心地よい疲労感がその日ベッドに入るまでずーっと
続いた。
翌朝。
うおぉーーっ!
全身から疲れが抜けて快調! お肌がモチモチしてすべすべ!!
すごいぞ、アイソレーション・タンク!
わたしはもうすぐ3回目を体験する予定だ。
一也 39歳 マラナサ・ジャパン・クリエイティブ・ディレクター
私が始めてアイソレーション・タンクに入ったのは、1997年の夏だった。
リモート・ヴューイングという科学的遠隔透視技術を学ぶためにカナダ
のガリアーノ島という大自然の島に行った。一週間のワークショップの
後、リモート・ヴューイングの先生であるエハン・デラヴィ氏の自宅にま
た一週間泊めてもらい様々なことを学んだ。エハン氏の自宅は当時
カナダのヴィクトリアにあった。そこにタンクがあった。タンクに入り、
内側からドアを閉め、ゆっくりと仰向けに倒れると、身体が浮いた。
両耳が水面の下に入ると、私は別世界に入った。音も光も重力も何
もない空間にいた。宇宙の真ん中に目だけがあって、浮いている自
分がいた。それからの意識の旅は一晩かかっても話せそうにもないの
で、ご自分で体験していただきたい。どちらにしても、リモート・ヴューイ
ングとアイソレーション・タンクを経験した、あの夏を生涯忘れることはないだろう。
ECCO 注
リモート・ヴューイングにご興味のある方は下記URLにアクセスして下さい。
http://www.maranatha.co.jp
宇佐美総子 モデル・ダンサー 25歳
日本に入ってきたアイソレーションタンク。私はそのパンフレットのた
めのモデルを務めることになり、初めてタンクの中に入りました。
(*1)初めはひんやりとして少し寒いかなと思ったのですが、中に入り
プカプカとカラダを浮かべると寒さは気にならなくなりました。タンクの扉
を閉めると中は真っ暗で音も聞こえなくなり、外界からシャットアウトされた世界がそこにはありました。目をつぶって水中に浮かんでみるとトクッ、トクッという自分の心臓の音が響き、その音に耳を傾けているとさっきまで真っ暗で不安だったのがだんだんとリラックスしてきて第三の目が開いているような(笑)気分になりました。
まるで目を開いているような感覚で、始めは浮かんでいることに慣れず肩の力が入り首が凝ったよ
うになったけれど力まず、海に浮かんでいるように肩の力を抜いてみよ
う!とリラックスをしたらとてもラクになりました。
真っ暗な音がない五感を閉ざした空間で自分は何を思うだろう・・・と
タンクに入る前はあれこれと予想をしていたのですが、実際には気付いたらいつの間にか眠ってしまっていたみたいで数時間もたっているような感覚で目覚めました。(*2)扉を開けられた時には、アレ?もう1時間?私って眠ってしまっていたの?と驚いてしまったくらいです。
タンクを出ようとしたら体が重力を感じて、重たくなりクラッと倒れそう
になりました。あぁ重力って存在するんだなあと改めて感じた体験とな
りました。
ECCO 注
*1
撮影のために扉を開け放したままだったので、タンク内の部屋の温度が水温(34℃)
よりも低くなってしまったため。
*2
30分におよぶ撮影の後、実際のタンクセッションに基づいたリラックスした自然の表情
を撮るために、1時間後にそっと扉を開けて撮影を再開する、という了解に基づいたもの。
香 42歳 女性 舞踊家
ほの暗い空間に聞こえてくるのは規則的な鼓動と息遣い。
遠い昔、私はこんな処に居たような気が・・・!?
いつのことだったろう?何処だっただろう?
そう、羊水に満たされ守られていた"母の子宮"!
憶えているはずはないのに・・・。
どんどん自分が純化され”無”になっていく気がする。
時間と空間が織り成す世界・・・宇宙。
子宮は小さな宇宙。そこに存在する以前、私は大きな宇宙に存在して
いたのかもしれない!そんなことを感じてしまう不思議な宇宙・・・
それが "アイソレーションタンク"
マナミ 32歳 歯科医勤務
軽い暗所恐怖症の私はタンクに入った直後、「怖い」という気持ちに
襲われ、「やはりやめようか」と弱気になりました。しかしその先に待っ
ているであろう“未知の体験”への好奇心のほうが勝ったため、タンク
内にとどまることができました。まず空間の圧迫するような音なき音に
心臓がドキドキ鳴っているのが水を通して耳、いや頭の中全体に響き、まるで自分の身体が心臓と脳だけになったかのような感覚に陥りまし
た。目や耳からの情報が一切入らなくなると、それらに頼ることをあき
らめざるをえず、その辺りから少しずつリラックスした状態に入ったので
はないかと思います。
もっとも、緊張のためか気がつくと首が少し痛かったのですがやがて
緊張が解けて心地よいポジションが見つかるとウトウトし始めました。
ウトウトといっても本当に眠たくてウトウトしていたのか、脳がそういう
状態にあっただけで覚醒していたのかは自分では判りません。ごく浅
いところを意識が行ったり来たりしていたようです。すでに時間の感覚
がなくなっていたため、それがどのくらいのサイクルだったのかもわかりません。何度目かに意識が上ってきたとき、目の前、少し遠く(と感じた)のほうにぼんやりとにじんだような光の点がいくつも見え始めました。
ピンボケのプラネタリウムのような・・・するとそこに重なるようにしてオ
ーロラのようなマーブル模様の光が、やはりぼんやりしているのですが、左から右へ出るはじから追いかけるようにして消えてゆきます。「うわ、なんか見えてきた」と目を凝らすのですが、一向にピンとは合いません。一度見え始めると次から次へと色々なものが出てきました。
身体の状態も実際にはじっとしたままなのですが、ゆっくりと右方向
に回転しているような感じがしました。それから上体が持ち上がるよう
な感じも・・・幽体離脱ってこんな感じかな、と思いました。光の帯は頭
の後ろのほうから前に向かってストライプに流れていきました。トンネルの中をバックしてるような状態です。なんだか頭の中がドロンとして「い
い気持ち」になったとき、ふいに音楽が流れてきてはっとしました。終
了の合図だったのですが私はまだ30分くらいに感じていたので時間の経過のはやさに驚いたのです。
はやい、遅い、というよりも「時間」そのものの存在を意識しなくなって
いたようです。
タンクから出ると身体が重く、だるい感じがしました。だるいといって
も十分な睡眠のあとの気持ちの良いもので、頭はシャキッとしていまし
た。タンクでの1時間は十分な睡眠にも匹敵するリラクゼーション効果
があり、心身ともにリセットするのに非常に効果的だと思います。なんとなく心構えというかコツがつかめたので、次にはもっと深い体験ができ
るのではないかと、二回目をとても楽しみにしています。
道林尚子 ダンサー 30代
1回目(中にいた時間40分)
暗闇と閉所に関しては、あまり苦手意識はありませんでしたが、水の
中というのは少し心配でした(プールでは力んで沈んでしまうタイプ)。
しかし、体を横たえるとすぐにフワッと浮いたので恐怖心はたちまち消
え、むしろ楽しげな気分になりました。しばらくして腰痛が消えているこ
とにビックリしました。私は頑固な腰痛もちでかねがね背骨を一度抜い
てきれいさっぱり掃除して元に戻したい、というかなわぬ願望を持って
いたのですが、そのことが叶えられたような気がしました(その後2、3
日はいつもより腰がラクでした)。リラックスし過ぎて寝てしまいそうにな
りましたが、熟睡することはありませんでした。ちょうど寝ているのと起きているのとの中間の状態で、ものすごくリラックスしました。
翌朝、事情があって寝不足(睡眠1時間!)だったにもかかわらず頭が妙にスッキリしていて、その日は1日中溌剌としていられたのには正直
驚きました。
2回目(中にいた時間90分)
1回目のフンワリと浮く感じに対して、今度は髪の先から爪先までを何かどっしりとした物に支えられてる感じがして、実際体もあまり動きませ
んでした。動けないのではなく、自分の一番居心地のよい所にちょうど
よい力加減でどっかりと収められている感じです。それから意識ははっ
きりしているのですが4種類の映像が夢をみているような感じで見えて
きました。印象に強く残っているのは黄、薄紫、黄緑の点描画のような
イメージが終始ざわざわとうごめいていて、その動きに呼応して自分の
身体全体の細胞がざわざわっと動く不思議な感覚があり、心地よい興
奮を覚えました。
後日、ヨガに屍のポーズがあることを知りました。数分間で数時間分
の休息を得られるありがたいポーズなのですが修行を積まないと会得
できないらしいのです。ひょっとしてわたしは修行抜きで同じ体験がで
きたような気がしてきて、ものすごーく得した気分になりました。
ECCO 注
彼女はタンクルームのセッティングに多大な協力をしてくれたので、タンクにはこちらの
サービスで入ってもらった。ただ、初回は人数の都合で40分足らずのセッションに終わっ
たため、二回目は時間制限なしで入ってもらっていた。
ところが90分後、私に近くまで外出する用事ができてしまい、彼女に声をかけるべきか
どうか考えあぐねているうちに彼女は自らタンクを出てきたのである。どうしたの? と聞
くと、「もう時間だよ」と私の声が聞こえたという。しかもテープの回転を遅くしたような低い
声だったと。「水の中を通すと声ってあんな風に聞こえるのかしら・・・」もちろん、私は声
などかけていなかった。
馬場 ゆかり スタイリスト 41歳
混濁した日常から逃れたいとき、常にリセット出来るエントランス?
タンクに入り、息が整った後、果てしない真っ暗な湖に、
ぽっかり一人浮かんだ状態になった。
それは、50分の体験だったが、瞬間といっても過言ではない、まるで、数分しか経っていないかの様な、今でも、時間の感覚が不思議。
タンクの扉を閉めて、広がる別世界に、次回はリミット無く、何処までも
行きたい。
伊藤竜太 フリーライター 35歳
1回目
蓋を閉めて横たわった瞬間、闇がぐるぐる廻り出した。そして暫くすると
右方向へのスライドが始まる。どこへ行ってしまうんだろう・・・と一瞬不安になる。とにかく重力から、生まれて初めて開放された。だが自分自身からは開放されていない。無限の闇を感じる自分の知覚は失われていない。高湿度と塩分のせいで息苦しい感じがする。息を吸うというこ
とはこんなにも体力を使うことなのか。唾を呑み込むにも、全身の筋肉
が動く。
心臓の鼓動が宇宙の中心になる。日頃の姿勢の悪さが矯正され、首から肩にかけて抵抗を感じるが、力は抜けている。腕の位置が定まらないのも、姿勢の悪さが原因だろうか。寸分違わぬ自分の居場所を探す闘いは、現実世界での闘いと本質的に変わらない。
だが、1時間の浮游を終えた後、肩凝りは蒸発したように姿を消し、自
分の存在が真直ぐになったように思われた。
2回目
闇は光である。完全な闇の中で、人は光を見る。
脳に電流が流れる以上、光の知覚は避けられないものなのだろう。
とにかく、オーロラのような光が見える。言葉を持たぬ光が、なにかしらの物語を語りかけて来る。
腕の位置を決めかねて試しているうちに性器に触れる。その瞬間、
一筋の光が遠くからこちらへと駆けて来る!
そして、眼が現れた。無数の眼が並んでいる。近く大きな眼、遠く小
さな眼、そしてその中間にも様々な距離に様々な眼が連なっている。
そしてさらに、飛来するUFO型の光が変身を遂げて眼になって、私を
見捨てて行く。私を見ているのか? これは私を見るための精神の眼
なのか? 見るという行為の主体である私自身が、その眼に見られて
いる。逃れられない生命という存在枠は、「見る」という行為によって証明されるのだろうか。
3回目からまったく違和感がなくなってリラックス万全になったが、5回目となる今回はいよいよ念願のトリップ体験!
最初から静止せずに、進む感触! 下半身の方がゆらゆらぶるぶると揺れる。何らかのエネルギーが起きているのは間違いない。考え事をしながらウトウトしていると、しばらくしてビクッとして目を醒ます。不思議なことに、ウトウトしたりビクッとしたりしながらも、思考は中断することなく継続している。眠る体と意識が完全に分離している!その状態がしばら続いた後、突然耳の中にビリッという電気ノイズが走り、再び目を醒ます。
目の前に防具を着けた剣士が蹲踞の姿勢で竹刀を構えている。剣士と自分と向き合ったまま、静かに、沈黙の時が過ぎる。やがて剣士が消え、目が・・・いや、至近距離に顔が見える。獣や梟の目をした猿人、弥生人など、ずいぶんと昔の人たちばかりがよってたかって私の顔を覗きこんでいる。成仏できないでいる死者たちかと思って心の中で経を唱えると、顔たちは遠ざかる。だが、また新しい顔が次から次へと目の前に現れて私の目を覗き込む・・・顔たちが消えて行くと、「違う世界に来たんだ」という実感が湧いてきた・・・
気付くと、黄色い花畑の上に浮いている! そして頭の方向に進みながらどんどん上昇する。青い空が見える・・・空を飛んでいるんだ。何と自然で、穏やかな気分だろう! 空を、上へ上へと上がって行く。・・・・・・。もう、宇宙だ・・・地球が遠くに見える。宇宙空間は、とても静かだ。
(終了時間を知らせる音楽が聴こえて来る)
宇宙空間に、日本語の歌が聴こえて来る・・・懐かしい。さあ、出なければ。でも、まだ地上に着かない。体がまったく動かない。だんだんと下界に降りて行く、ゆっくりと。でも、まだ動けない。曲が終わりそうなので、無理矢理に首を上げると、髪の毛から雫が垂れる。腕に力が入らず、相当な努力をして漸くのことで上半身を起こす。出口を探るが、遠くて、遠くて、進んでも進んでもたどり着かない。いったい自分はどこにいるんだろう? やっと出口を見出して扉を開けて立とうとするが、足に力が入らずひざがガクガクして、掴りながら辛うじて立ち上がる。ああ、無事に還って来れた!
幽体離脱でもしていたのだろうか?
伊藤竜太・5回目の感想
鈴木弘美 50代 無職
先に体験した友人たちから体感の印象を聞いていたので自分には
何が起きるかと、少し期待しつつ、少しの不安も感じながらタンクの中
に入りました。
光も音も全くない世界は今までの人生で経験のないことでしたので、最初の10分(?)くらいは1時間も浮いていられるものか心配でした。
首がとても痛くなったので(たぶん緊張していた)腕を頭の下に組んで
みたらとても楽になり、目を閉じたらすぐに身体がゆっくりゆっくり右に
回転し、180度回転し終わったらまたゆっくり左に、そしてもとの位置に
戻りました。回転している間、実際のタンクのサイズが分かっていたの
で、ありえないことと自分に言い聞かせつつ、それでもその感覚が拭
えず回転し続けていました。
その後、隣の部屋(?)から英語による男性二人の会話が聞こえて
きました。私と入れ違いにジャパンタイムスの記者がインタヴューを終
えて帰られたので、宮部氏がインタヴューのテープをチェックしているのだと思い、「もう少しボリュームを下げてほしい」などと考えていました。
タンクから出た後、「インタヴューのテープ聴いていたでしょ? 少し
うるさかった。」と彼に不満をいうと、「え? テープは記者が持って帰っ
てここにはないし、電話もしてない、まして客もなかったので誰とも話し
などしていない」という返事!
確かに男性二人が英語で話し合っていたのに????
*ECCO 注
幻聴と思われる体験はすでにいくつか報告されているが、彼女のように非常に長い間会
話が聞こえていたというケースは珍しい。外国人記者とすれ違ったという事実が彼女の
印象に強く残り、「インタヴュー・テープの確認」という、本人には説明のつきやすい幻聴
を生んだのだろうか。
鈴木小百合 28歳
暗い海、ビーチすぐ近くでぽっこりと浮かんでいる。
人の存在は私しかいないが、人の存在やあらゆる生命の存在が周りにあることを感じている。
時間的な恐れのない静かな世界。
私はただ浮かんでいる。
遠くに微かに星が瞬いている気がする。
チャクラを開こうと試みる。
普段の10倍位?の速さで体を一気に駆け上がってくる。
一気に頭の上まで来ると、頭が雲に包まれたように安定した。
何か急いで感じようとしている自分にコントロールされているのか?
感覚が凄く敏感になっている事に新鮮な気持ちだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夏の気だるい日差しが顔を覆ってくる。
強く眩しい・・・
暑いのに嫌な気がしないのは、風が心地よく吹きつけているからだ。
私は歩いているのか、佇んでいるのか、自分の居場所を探ってみる。
車に乗っているようだ。
日差しを時折手をかざし、仰ぎ見ながら柔らかい振動に身を任せてゆったりとした気分。
左ハンドルのクラッシクな車だ。
右側で自分の夫が運転している。
とても懐かしい感覚。
彼は静かな笑みを浮かべながら、私の存在を確認するように愛しげにこちらを見た。
なんという幸せな時。
私たちは古い海岸線を夕日をゆっくり追いかけるように走っていて、そこから続いているなだらかな高台にあるホテルへと向かっていた。
私のひざの上が暖かく感じられると、小さな命の存在が現れた。
まだ1.2歳の子供?
なぜか顔がわからない。顔の部分にぽっかりした空間があり、地球のようにも見える。
私たちにとっては夫が戻っての(夫は軍人?)久しぶりの休暇だった。
それは100年以上も昔の事のようだった。
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くねりくねり、細く街の中をなだらかに続く石畳。
見上げると空は曇っている。
少し肌寒い気がする。
ヨーロッパの何処か古い街並み。
軽やかに前を行く男の人の後ろをついて歩いている。
彼は時折ふりかえり、ふりかえり2人の距離を確かめながら歩いている。
彼の髪は黒い軽い短めのカーリーヘアで、大きな深く黒い思慮深そうな瞳が印象的だ。
私たちの関係はよく判らない。歩いている目的も特別感じられないが、
彼のよく知っている土地なのだろう、自分の歩きなれた愛する街を私に見せようと嬉しそうにしているようだ。
私も彼の存在に安心して、頼もしく感じながら歩きなれない街を楽しんでいる。
それは過去とゆうより、未来を感じる。
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突然の不安感。恐怖。
暗い闇の世界。
死んだ愛猫(テト)の思い出が蘇る。
生と死。
テトの死んだ時の状況や表情を思い出す。
パニック。
ここからでなくては!
しかし、自分がそれを作り出していることに気づき、負けてはいけないと強く思う。
又死んだ時のテトの顔や生きていた時の思い出が浮かんでくるが恐怖感は無くなった。
フッと春の日差しに包まれているような感覚になった。
川を流れていく。
緑に囲まれ、ちらっと花の色もみえる。
ごろごろとした大きな石の間をゆっくりと流れている。
左側の川岸に着くと、テトが私の上に乗ってきて私の上を行ったり来たりしている。
私はどうやら船のようだ。
テトに促されるまま流れ出し、あっちの岸、こっちの岸へとゆっくりと流れてゆく。
とてもゆったりした気持ちだ。
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ずっと誰かが手で支えていてくれている気がしているが、誰なのかわからない。
それが赤ちゃんであるように思えてくる。
顔を見ようとするが、顔の真ん中が空洞?地球のような色の円がぽっかり空いている。
しばらくするとそれが自分自身である事に気づく。
あなたは誰?
どこに行きたいの?
という問いかけに、しばらくオウム返しに答えている。
あなただったんだ、ありがとう。
とはっきり声に出して言っている。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
突然、タンクの中にいる自分にはっきり戻り、そろそろ時間かなぁー?
もうすぐ呼ばれるのだろうか?と考えている。
次の瞬間音楽が聞こえてきて、物凄く遠くへ飛ばされる。
遠くへ遠くへ。
とても自由に風を操りながら飛んでいる、とういうか舞っている感じ。
なんという柔らかさ。
羽衣をまとった天女のイメージ。
水が循環しはじめると、永遠というのか星空の中に溶けていくような開放感を楽しんだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
宮部さんの声。
あぁ終わったなという感じ。
一時間を一時間と意識した状態で体験していたので、入る前と出た後でのギャップは
殆ど無く、安心しました。
自分を解放する時間を冷静に楽しんでいたのかな?と思えたことも嬉しかったです。
まぁ、色々心中複雑な感じではありますが・・・。
また近いうちにおじゃましたいと思っています。
鈴木小百合
*ECCO 注
ここで夢のように語られている物語的なイメージの集積は、しかし決して通常の睡眠時にみられるような「夢」ではなかったらしい。およそタンク内において彼女は終始一貫して覚醒した自己を意識していたのである。
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Mizuho 26歳
初めてタンクを目の前にしての感想は以外と庶民的なんだなーです。
もっと、SFチックな永久睡眠できそうなカプセルぽいものを想像していたので。
これなら大丈夫。安心して入れると思ったのですが、根性がない私はタンクに体を横たえ耳の中に生暖かい液体がザザーと入ってきた瞬間、恐怖に襲われ、これはだめだ。1時間も我慢できないと思いました。でも、せっかくの機会だしもったいないと思い直し、耳栓をつけてしばらく様子をみてみることにしました。
少しすると暗闇や息苦しさにも慣れ、タンク内を移動する余裕もでてきました。
タンク内はそれほど広くないですが、端から端に浮きながら移動するのは何とも言えない浮遊感があってとても気持ちが良かったです。
そんなことをして遊んでいるうちに、頭の重みを感じてきました。私は普段から頭と首と肩のバランスが悪いので、この無重力に近い状態でもバランスをとるのが難しいのかもしれません。宮部さんが頭の下で腕を組むとよいといわれていたのを思い出し、そうしてみると頭がぐっと持ち上がり楽になりました。
しかし、その状態でしばらくいると今度は腕が張って疲れてきたので、腕を動かしたところ、耳栓が外れてしまいました。それで、耳栓を手に持ったまま、腕は万歳をするような格好で浮かしておきました。
耳栓を外すと、自分の心臓の音はもちろんいろんな音が聞こえてきました。音というより振動が伝わってくるという感じ。初めはそれを怖いと思ったのですが、今はだいぶ慣れたのかそれが心地よく感じてきました。
物凄く気持ちよくて、あーここにずっといたいなーとさえ思い始めていました。
その瞬間、あっ今私足がないと感じました。あまりにも抵抗がなく感覚が働かなくて身体がゼロの状態に近づいたのだと思います。
そして、眠りに落ちるように意識がぼやけ視野が白っぽくなり始めたところで音楽が鳴り始めました。
今回は初めてということと、昼間であったことと、前日ニンニクを食べ過ぎて精力がついていたことから、意識がはっきりしていて始終雑念が渦巻いていました。最後やっと潜れそうだなあと思ったところで終わってしまいました。
でも、初めはこれぐらいが良いのかもしれません。
全体を通して、タンク体験は本当に心地よかったです。出た時は10時間温泉に入ったみたいにふにゃふにゃになっていました。外界からの感覚的な情報から遮断されるというのも良いですよね。実際になかなかそういう場所ってないですし。まさに自分をリセットするために、こもるには最適の場所。
街に出た時はもう夕方になっていましたが、西日が白と黄色に輝いて、白金高輪の街は現実離れして美しく見えました。何より、商店街で買い食いした焼き鳥おいしかったー。
その後、目黒にも行ったのですが、あまり見慣れていない街だったせいか、異国の街に行ってしまったかのように、物珍しく見えるものがたくさんあってキョロキョロしてしまいました。これもタンク効果!?
ハタダ 25歳 ウェブ・デザイナー
こんにちは、ハタダと申します。
まだ未経験の方への参考になればと思って書きます。
タンクに入って5分くらいして、まず三半器官が反応しました。
明らかに上を向いて寝ているだけの状態なのに感覚的にはブランコで前後に揺れているような
感覚になりました。もしかしてと思って横向きに意識を集中したらぐるぐる回っている感覚がしました。
ただ、15分くらい(腹時計ですが)するとその様子も無くなりより内側の方に意識が向いて行きました。
その後、いろんな物を見た気がしますが夢か幻覚かよくわからない状態だったのではっきりとは言えません。
ただ、今までに無い感覚であったという事ははっきりと言えます。
最初はもっとサイケデリックなトリップ系(笑)の物だと思っていたんですが、違いました。
ホントに自分の意識の持ち方次第で人それぞれの楽しみ方が出来るようなきがします。
ただ、タンクに入る事自体がおもしろいという事では無いなという事ははっきりしました。
定期的に入って自分の内側の変化を観察してみたいなと思いました。
適当な感じで申し訳ありませんが、以上です。
Tamland 27歳 翻訳業
初タンクははっきり言って凄く良かった。
良かったというのは人それぞれ感じ方が違うと思うのですが、僕の場合始めはやっぱり肩が痛いなぁ、と感じてたんですが、ある瞬間を境に思考のシステムが変化して、それまで頭の中で思ってたこととは違う角度からの思考がスタートしてきた、という感じです。
なんかこう、フッっと体が水との境界線をなくすような感覚。新鮮というか不思議というか・・・ある種の感激を感じたのが分かりましたね。そこからがまた不思議で、別の次元的思考に行ってるのに、普通に感激する感覚も持ってままでいられるのが驚いた。これがシータ波か!って思いました。
そんなわけで近々また行きますんで、宜しく・・・
Eme(エメ) 25歳 ヴォーカリスト
タンク体験直後の感想(後日の電話での報告を宮部が代筆)
タンクの扉を開けて外に出ると自分がとても無防備であるってことを感じた。そのためか物音などの環境音が普段より大きく聞こえた。タンク内は良いとか悪いとかの価値判断からハズレた中立的な感じだった。タンクの中ではプラスとマイナスの現実的な思考がぐるぐる回っていたけど、結果的にかなり身軽になれた気がする。でもリセットとまではいかない感じ・・・
シャワーを浴びて服をまとい、隣のラウンジルームに入ると、その部屋の磁場というかエネルギーの動きのようなものがよく感じられた。同時にデスクに向かって仕事をしている宮部さんの意識のありかたや状態といったものもよく感じられた。
しばらく放心したようにソファに沈み込む。最近私が興味がある人や事、音楽について宮部さんととりとめもなく会話をしていたら素敵な偶然が3つも起こってとてもびっくりした。・・・ふと気がついたら何時間も経っていた。もう帰らなくちゃ。
帰り道、からだから意識がふわふわ浮いてる感じがして何度もつまずいてしまった。一度はホントに転びそうになった。タンクから出たあと、すぐに日常に戻るのは危ないかしら。人ごみもいつもより不快に感じる。タンクのあと、電車には乗れないな・・・
次の日、髪の毛がいつになくサラサラしていた。これってエプソムソルトのおかげかしら? マイナスイオン・ドライアーのせい? シャンプー? やった〜
家で鼻歌を口ずさむと普段よりも声が自然に、楽に出せる。気持ちいい・・・。この状態が2日間続いた。レコーディングの前の日にでもタンクに入るといいかも!
気になったこと・・・タンクに入った次の日から曇りの日が続いた。ある意味で身も心も浄化された分、空っぽになったからだに欲しいのは太陽のエネルギー・チャージ。それができなかったので、ちょっとエネルギー不足の日が続いたような・・・だから次回は次の日が晴れの日に行こうかな。
いま、こうして電話でそのときの感じを報告しているとフッとその感覚がリアルによみがえってくる。そうすると肌の上2ミリくらいところがスーッとして、今までにない感じがした。不思議。
以上。
*ECCO 注
Emeさんのデヴューアルバム「Pied-nu」(ピエニュ)は東芝EMIよりワールド・ミュージック系列(フレンチ)で発売中。プロデューサーはクラブ・ミュージックの大御所、井出靖さん。カッコイイ! 彼女の漂うようなウイスパー・ヴォイスと、それを絡めとらんとするビートの疾走感は、絶妙なブレンドです。
全編フランス語(!)の、かなりお洒落な必聴の一枚!
Ebi パターナー 50代
おっかなびっくり横たわると、見事にぽっかり浮かんだのには嬉しくなりました。
暗いことが不安に感じるかな、と思っていましたがそれはまったくありませんでした。
始めに目を見開いていたので少し眼に沁みたようでしたが、そのままでいました。
少しずつ左方向に(オール一本でこぐボートのように)回転し始めたのですが、いつまでたっても壁に当たらないのです。それで「あ〜これは頭が回転してると思っているだけなのか」と気がつきました。あとで「三半規管の誤作動だ。」と解説していただきました。
小さな私には広々とした空間に感じられて、つま先で壁を軽く蹴ってみたら緩やかに頭の方向に移動するのですが、身体の感覚が鈍くなっているので実際は移動していないのではないか、という気になります。頭で予測するスピード感と実際のものが随分違って、その違和感が妙に面白いのです。いつまでも頭が壁にぶつからないので、少し不安を感じる頃に頭が壁に当たります。今度は頭を壁に当てて弾みをつけて足の方に静かに移動するのを楽しみます。これを数回愉しくやりました。
しばらくすると心臓の鼓動が聞こえてきました。そのうちにタンクの液体が血流そのままに皮膚感覚で感じるようになりました。体表一面にタンクの液体が血流のリズムでひた、ひたと押し寄せては返します。とても面白い感触です。
姿勢を保っていると筋肉がこわばってきて痛いので、わずかに動かして姿勢を変えました。比重が高いせいか液体に触れている皮膚が均一に圧されている感覚があり、そのためとても安心した感じがしました。あとから指宿温泉の「砂蒸し温泉」の砂の感触と同じだったなーと思いました。全体に押されているのだから細胞がぎゅーっと詰まって体が引き締まるかもしれない♪と思いました。
非日常的な環境にわが身を置いた時に、肉体・精神レベルにどのような反応があるのか、それが楽しみでしたがタンク体験第一回では精神の反応まではとても見極める用意が出来ないようです。身体的反応についても深い所のそれはなかなかわかりません。筋肉を緩めているつもりでも、やはり気負いがあって緊張が残っているらしく、うちに帰った頃には
肩と首の付け根が随分痛みます。ただこれまで体験したことのない身体の楽しみ方が体験できるとおもいました。スポーツなどとはまた別の発想で「指令中枢たる脳と実行機関の肉体とのかかわり」という意味で「自分の身体を御する」ということについてトライしたことがなかったと思いました。当分はこのことをやってみようか、と思っています。
QOO 32歳 幼児教育
タンクに入ったのは10年ぶり?ぐらいでしたが、水が指のササクレにしみて痛かった・・・。それに顔が浸かりそうな恐怖のためか、首と肩が緊張しっぱなし。ご教示いただいた通り、頭の後ろで手を組んでました。
最初は日ごろの雑念がいっぱい浮かんできました。仕事のこととか、対人関係とか、今夜のメシはどうするとか。そのうちに雑念がスピードをあげて超高速回転しはじめました。(ふだんからそれぐらいスピーディに思考できたらいいのに!)気を落ち着けようとして深呼吸したけどダメ。そこであきらめて、脳内ワイドショーを見物してました。
そういえば「声」が妙にリアルでしたっけ。たとえば誰かとの会話を思い出していると、その人の声がまるで目の前にいるように、くっきりと聞こえてくるんです。
たぶん30分ぐらいたったころ、雑念が減ってきて、こんどは体のほうに意識が向かいました。無重力状態で動くのっておもしろいですね。逆さカエル泳ぎをしたり、「私はイルカ」とくねくね遊んでみたり、インド音楽など思い浮かべてお尻でリズムをとってみたり。もしもタンクがガラス張りだったら、実にブキミな光景が見られたことでしょう。
最後のほうでは声を出してみました。体が管楽器になって、びりびり震えるのがわかりました。人間は宇宙に浮かぶ管なんですね。本当はもっと大声を出したかったんだけど遠慮してしまいました。
終わったら気分すっきり。あとから考えると、最初の雑念の超高速回転で、自分の内からよけいなものが排出されていって、その後にプリミティブな身体感覚が表面化してきたように思います。
タンクは何度か入るうちに体験がディープになってくるそうですね。また行きたいです。ありがとうございました。
村松恒平 49歳 編集者
体験したことのない人は、タンクというと、何か金属製の重々しいものを思い浮かべてしまうかもしれないけれども、全然そういう圧迫感のあるものではありません。
もっと、フタなんか間延びしたくらい大きくて軽いし、気楽なものです。閉所恐怖 のようなものは、ほとんど呼び起こされません。
僕など、子どもの頃、悪さをして押し入れに閉じこめられたことを思い出しまし た。最初は怖くて騒いだものですが、やがて、そこが温かく柔らかい布団に囲まれた
懐かしいような場所であるとわかると、すっかり安心して和んでしまいました。親の ほうが心配して開けに来たことを思い出します……。
僕はもうタンクに6回くらい入っています。タンクというと、瞑想状態になると か、幻覚を見るとか、そういう精神世界的な「効果」を期待する人が多いようです
が、僕は全く身体的な理由をメインに入っています。
リラックス、脱力の感覚を身体に覚えさせたいということです。
外からの光や音を遮断されたいわば身体の内部感覚だけの世界で、さらに溶液に浮 くという形で触覚からも重力からも、半分解放された状態というのは、他では得られません。
普通の人は思いついても、なかなかこういうものは作らないでしょう。そういう意 味では、理論的に考えただけでなく、実際に作ってしまったリリー博士という人は面
白いですし、実際に日本でそれを体験できることにも感謝です。
脱力というと簡単に考えるかも知れませんが、ヨガでも、ただ寝て完全に脱力する 「死骸のポーズ」が最も難しいと言われています。複雑怪奇に身体を折り曲げるよう
な、いかにもヨガです、というポーズよりも、脱力のほうがじつは奥が深いということになります。
『魔法大全』という本を書いた英国の魔術師(手品師の類ではない)、W.E.バトラーは、脱力について、おおよそ次のように言っています。「人は、筋力の緊張によって、大量にエネルギーを浪費している。重要なのは大きな
筋肉の緊張ではなく、小さな筋肉の緊張である。じつは、大きな筋肉で運動するより も、小さな筋肉を緊張させていることによって、人はエネルギーの大半を失ってい
る」だから、脱力を訓練しなさい、と続く。そして、そのセーブされたエネルギーを使
って、魔術を修得しなさい、ということです(バトラーのいう魔術の定義とは『意識 を自由に変容させる技術』です)。
僕の場合は、魔術修得以前に(笑)、脱力によって、肩こりや慢性的なだるさから脱 出したい、というささやかな希望があります。
実際に畳の上やふとんの上で脱力してみようとすると、本当に力が抜けているかど うかよくわからない。どちらかというと、全然抜けていないような気がするわけです。
それに対して、タンクの中では、確実に脱力に「向かっている」という感覚があるのです。浮いているうちに確実に力は抜けていきます。
つまり、言葉で「力を抜こう」としてもできないのが、いきなり体感でその状態を 確認できるのです。その感覚を身体が覚える、ということが大切なのです。
本来、赤ちゃんや小さな子どもは余計な力が入っていません。
僕の身体はもはやその脱力の感覚をきれいに忘れてしまっているので、<まず体験 しないと再現することができない>というレベルにあるのです。
タンクで浮いていても、余計な力が入っているようで、身じろぎしているうちに、 タンクのへりにコツンコツンと当たったりします。
宮部さんに聞くと、ダンサーとか、ある程度身体訓練をしている人は、「まるでゼ リーの中に埋まったように」動かない、と言います。
僕の場合、もともと体育系が苦手で運動不足な上に、物書きと編集という全く非身体的職業について長いのです。いろいろなストレスが相互に矛盾した小さな緊張のベクトルとして、深く身体化しているような気がします。
そういうものをほどこうとしているのでしょうか、身体はもぞもぞと動きます。
しかし、身体訓練というものにおよそ縁のない僕も、タンクに入る回を追うにした がって、浮いている姿勢が安定してきました。
そういう微細といえば微細かもしれない変化に意味を感じるかどうかが、タンクを 評価するかどうかの分かれ目になるような気がします。
何しろ、こういうケースでは、体験した結果と、体験しなかった場合を両方比べて みるということができないのです。
しかし、微細な変化ではなく、一つはっきりと言えることは、タンクに入ると「熟睡できるようになる」、ということです。
タンクに入った翌朝目覚めると《すご深いところから帰って来た》、という感じがします。いちばん深い眠りは夢も見ないと言いますが、夢はたしかに見ているようで
す。でも、本当に子ども頃や、若いときの眠りのように、どこか深いところに入っ ていきます。しかも、それがタンクに入った晩だけでなく、全体に眠りの質がよくなります。
こういうことは僕の年代になるとお金には換えがたいほどありがたいことなのです。
今は、週に一回程度通っていますが、いずれ、「ゼリーの中に埋まったように」脱力できるようになりたいです。
できるようになったら、どうするか?
まだわかりませんが、たぶん、そのときには、もっと別の面白さ、価値を見つけているような気がします。
文章が上達する学校
http://www9.ocn.ne.jp/~cub/
ヤジマ 41歳 ライター
タンクは深かった
水に浮かんでるだけ。カンタンそうだし、編集者のMさんが推薦するくらいだから間違えないでしょう。てな軽い気持ちでやってみることにしました。
やる前に思ったのは、無理に感じようとしないこと。できるだけ虚心になり自ずと浮かんできた感覚や感情だけをキャッチしようとしました。でないと実験にならないし、効果を狙いずぎるのも浅ましいようです。
ハッキリと違いを感じたのは、セッションを終え車で家に向かっているときのこと。アタマが冴えているのです。周りの車の流れにスムーズに反応している感じがします。
ハンドルを握っている腕に抵抗を感じません。首や肩、腕にコリが全く感じられない、違和感が無いような感じでしょうか。
雑念が頭に浮かびません。頭も身体も静かです。落ち着いています。文字どおり、腰がシートにズシッと修まっている感じです。
フロートすると体が弛緩してしまい、朦朧として運転したら危ないんじゃないか、と思っていたのですが、結果はまるで異なり、クリアーな状態でした。思いもよらない反応に驚いています。
それと呼吸がとても深くなったことにも驚いています。セッションを受けた夜、寝転がって『バニラスカイ』という映画をでれでれ観ていたのですが、このとき大きく胸郭が広がり、いつもよりもたくさんの空気がゆったりと出入りしているのを感じました。
こう感じることができたのも、身体のなかの雑音が収まっていたからでしょう。自分の吐息がよく聞こえたように思えます。
あともう一つ感想を挙げるなら、宮部さん、この方にお会いできたことがウレシかったですね。セッションが終わった後にお話させてもらったのですが、始めはお互いお見合いみたいにしゃっちょこばっていたけれど、言葉を交わすにつれて、一足飛びにお互いの距離が縮まっていくのを感じました。しまいには、よほど親しい人にしか話さないようなヒミツまでつらつら話してしまった! まるで旧知の仲のように。
アイソレーションタンクのことが人から人へ口づてに伝わり、宮部さんと繋がっている見えない無数の糸が、いま多くの人を呼び寄せているように思えます。
P.S. セッションを受けて2日目ですが、友達や知り合いからいつになくたくさんのメールが舞い込んできています。「高校時代の同窓会しよう!」「○○さんに会ってみない?」なんて、ごぶさたしてた連中からの連絡がなぜか多いですね。偶然にしてはできすぎているようで。これもアイソレーションタンクの影響でしょうか。
せ〜こ 35歳 主婦
私のタンク初体験は最近はじめた柔軟体操の効果を見るのが目的。
「無重力っぽい感じの中で体の歪みとかチェックできたらいいな」
「ほへ〜んとリラックスできたら良いかも」ってなノリでした。
目を開けても何も見えない真っ暗な空間。
耳が弱いので耳栓が要るかな? と思いましたが、面倒くさがりのため、そのまま。
でも、耳に水は入りますが別にしみませんね。
入って横たわって、でも現代人の哀しさか、「さぁ、くつろぐぞ」と思っても、何か手持ち無沙汰でこまるような。
でもぼーっと寝ているだけなのに、体が横や縦に回る感覚もして、「ほほ〜、けっこう歪んでるなぁ」などと感心。
そうこうするうち、首の後側が痛くなってきました。タンクに入る前に説明を受けていた通り、かるく手を添えて支えるとラクです。
ついでに首筋をモミモミしてみました。そんなことをしても沈まないので楽しいですね。
やがては三歳児にも劣る集中力ゆえに、手をぱしゃぱしゃ動かしてわざと体を回してみたり、水から浮き出てる自分のおなかを何度となく撫でてみたり。ラッコみたいに遊んでました。
真っ暗な中で遊んでいるうち、寝てるのか起きてるのかわからない気分になり、ぼて〜っとくつろいだ感じになったところで一時間経過。
タンクを出たあとは、おいしい紅茶をいただきつつ楽しい会話ができて、とてもリラックスしたひとときを過ごせました。感謝です。
こんないい加減なタンク初体験者でも、出た後でこんな変化に気づきました。
●胃腸が活発になりました
おなかが空いたの何のって!!出されたお茶請けをガツガツと貪り、お代わりまで頂きました……うーん、あさましい(汗)。
●血行がやたらよくなってる
一日たってもまだのぼせたような感じです。足もとも温かいけど。マッサージに行った後のような、地に足がつかない感覚かな。
●首のコリが取れた!!
これはちょっと感動ものでした。モミモミもしましたが、基本的に力を抜いただけなのに。ただ、いくら嬉しくても、地下鉄の車内で首をうねらせていたのは、今思うにかなり怪しい人だったかも。
結論:落ち着きのない人間でも、ちゃんと効果はあります(笑)。
単純に力を抜いてボケ〜ッとしただけで元気を回復する辺り、「なんか、スゴイじゃん!」と体を誉めてやりたい気が。
そういう不可思議で精妙なシステムでできた凄いモノを人それぞれ持っているのって、もっと凄いかも(汗)。
ということで、また自分の体とあそびたくなったらお伺いしますので、よろしくお願いします。
Kawa 35歳 プロダクト・デザイン(コンテンポラリー・ダンザー)
初めてタンクに入ったので、簡単に感想を書きます。
人の家で全裸になるという体験も、とても新鮮でした(^^;)
普段の生活では、満員電車とか商店街を通った時の様々な臭いとか、否応無く感覚のゲインを下げてないと生活できませんが、この中ではそれが開かれていくような感じがしました。とても静かで拓けた場所に滞在した時、段々、耳が開いてきて、見えないほど遠くにいる犬の鳴き声が聞こえたりするのに似てます。非常に心地よく、穏やかなところでした。
しかし中では、リラックスすることと集中することと、両方が必要だと思いました。
ただ委ねるだけでは、このタンクの効果の半分で、もう半分は自分が担っているように思いました。瞑想も座禅も、ある効果を得るためには、自分にもかなり高い集中力を要求されるのと同じで、お互いの協業が大切だと思いました。何事もただ受身では多くを得ることはできないというか。
中では「せっかく日常では味わえない微妙な感覚を体験しているので、その感覚を逃すまい」と思っていたのですが、身体はリラックスしつつ、皮膚の神経を研ぎ澄ませた時、何度か水と皮膚の境界が曖昧になったというか、新しい感覚を感じることができました。日常では感じられない一瞬でした。あの感覚を確かめに、前回以上の集中力でもう一度入りたいと思っています。
これは僕の感じ方ですが・・・簡単ですが、感想でした。
motoo
タンクを体験して気持が良くなった、ということから気付いたのは、日ごろの生活の中で意識しない間に相当時間のストレスを感じているということです。タンクの中で見つけたのは自分中心の時間感覚で、この感覚とみんなで共有している時間の感覚との差がタンクを体験しての気持ちよさの度合いなのかな、とも思いました。座禅を組んだときも同じように感じたとお話しましたが、こういうOFF、とても大事だと思います。
*ECCO 注
自己の時間に立ち返る「大事なOFF」・・・その通りですね。そもそもアイソレーションとは、隔離、分離、孤立を意味しますが、アイソレーションタンクは外界の感覚刺激からの隔離のみならず、客観的時間という日常意識からの隔離をも促します。そしてその時間感覚のズレに気づくということは、実はとても重要なことに思えます。
おそらくほとんどの人が時間は客観的に存在すると思っているのではないでしょうか? 時計の存在?・・・そもそもこれは無数に存在する時間から一つの基準を抽出するために発明された、いわばタイミング強制装置であると考えても差し支えないと思います。意識が社会から世界へと拡張し、さらに大量生産や効率化という価値を謳歌した20世紀にはその強制装置の恩恵は大きかったわけですが(だから強制とは感じてなかった)、すでにこの価値が破綻しているのをボクらは知っているわけです。それでも殆どの人がいまだに客観時間に追われ、そこに自己を合わせることができずに疲弊しきっているという現状・・・。
太陽の昇沈や月の満ち欠け、さらには季節の移りかわりという大らかなリズムにそれぞれの自己が独自の生理的リズムを共鳴させながら周囲との関係性を築いていく・・・これは贅沢な理想論。でも、日本だったらおそらく江戸時代まではそうだったんじゃないかな。鼠の刻とか丑三つ時とかって大まかな客観時間はあったかもしれないけど・・・もちろん、だからといって江戸時代に戻ろうと言ってるわけでは毛頭ありません。客観時間が捏造されたものであるっていう認識の重要性を言いたいのです。
時間とは自己である・・・この深遠な哲学的認識が純粋に実感できる環境、それがアイソレーションタンクなのです。贅沢な時間を持ちましょう!
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